第120号:安定成長する会社は長所を伸ばす。先細りする会社は短所が気になる
「お陰様で最近は売上も安定して良くなってきました。店長たちも自信を持ってきたようです。」
これは飲食店を5店舗展開している会社の話です。
この会社は独自性のある商品で差別化を行い人気店となり、5店舗に拡大したのですが、次第に模倣店が増え、売上が下がり始めた過去があります。その際、この会社は模倣店との差別化のために新メニューを導入したのですが、思ったように売上が戻らず、次に販売促進を強化しますが、効果があったのも最初だけでした。
店長たちは何とか売上を回復するために努力を重ねていましたが、やがて打つ手もなく頭を抱えていました。
店舗拡大の壁、それは長所を伸ばすことをせず、短所ばかりを気にすること
長年、飲食業界を支援してきていますが、この会社のように始めは勢いが良く経営拡大するのですが、途中から上手くいかなくなり、最悪の場合は1店舗にまで縮小する結果になる会社は多々あります。
その最大の原因は、長所を伸ばすことをせず、短所ばかりを気にする経営だったことです。
ここでいう長所とは、お店の看板商品です。お店が繁盛するに伴い、店舗の拡大ばかりを意識して、看板メニューを磨きあげることを怠ってしまう会社、店舗は少なくありません。
この会社も、店舗が増えるにつれ、看板メニューを磨きあげるどころか、次第に品質管理も甘くなり、味も落としていっていました。模倣店が増え始めたときには、看板商品の品質は模倣店とさほど変わらないレベルにまで落ちていました。
そして今度はそれを看板商品が飽きられてきたのだと勘違いし、新メニューに取り組んでしまい、メニュー数が増え、厨房の仕事が大変になり、さらに品質を低下させていったのです。
極めつけは、販促活動に力を入れたことで、クーポン目当てのお客が増え、客層も悪くなっていったことです。すると常連客がどんどん離れていきました。
安定成長する会社は長所を伸ばす!
業績を伸ばし、今、注目を集めている串カツ田中という会社がありますが、この会社は串カツのソースを創業してから今まで30回も改善を行っています。
「変わらない味」といわれるためには、変わり続けなければいけないのです。そうすると、模倣店ができても、本物の味が違うと常連客が気づきまた戻ってくるのです。
あなたは自分の店の長所に気づいていますか?
弱点ばかりが気になる人はその無意識の習慣を変えなければならないのです。
画像引用:photo AC