第110号:永続経営のために重要なのは、売上げではなく〇〇性の向上
「創業以来、頑張って業績を伸ばしてきましたが、最近は同業者間の競争が激しくなり伸び悩んでいます。営業力をさらに強化していますが、社員も次第に疲弊してきています。自力で行うのに限界を感じています。どのように乗り切ればよいでしょうか?」
これは、先日の経営相談に来られた注文住宅会社の経営相談のお話です。
経営が苦しくなる原因は、経営者の考え方を変えれば解決できる!
市場が成熟すると、ニーズは多様化してきます。そんな中で自社の経営目的(ミッション)が曖昧な会社は、お客様に会社の魅力が伝わらず、「安さ」や、何でも対応してくれそうという「利便性」でしか選ばれなくなります。そうなれば、利益は薄くなるにもかかわらず、業務は多忙になっていき、それが社内を疲弊させる原因になるのです。そうした状態を回避するためには、自社の経営目的(ミッション)を明確にすることです。すなわち、自社の対象顧客や商品を絞り込むことが重要なのですが、頭ではわかっているものの実際にこの絞り込みができない経営者が多いのが現状です。
絞り込みのできない経営者の多くは、売上主義で物事を考えていることに問題があります。売上を向上させていくために、見込客を逃さないように、商品ラインナップを充実させようと考えてしまうのです。そのような経営を続けていると、利益率はじりじりと下がり、顧客対応のために多くの人材が必要となるため固定費は上がっていきます。結果として経営は苦しくなります。
これは経営者の売上主義の経営スタイルに問題があるのです。市場が縮小し人材が不足している現代では、売上の追求以上に生産性の向上を目指すことが重要なのです。
売上の追及以上に生産性の向上を目指すために必要なこと
生産性の向上とは、1人あたりの粗利益額を向上させることです。
そのためには、自社の存在意義(ミッション)を明確にし、お客様や商品サービスを絞り込む必要があります。お客様を絞り込むことにより、自社の価値が伝えやすくなります。そして、それにより自社に合ったお客様を集客しやすくなります。つまり、お客様のニーズと会社の提供するベネフィット(提供価値)が一致するため、他社と比べるられることが少なくなり、価格競争からも脱却できるというわけです。
また、生産性を向上させることで、様々なことに未来投資をすることができるようになるので、変化の激しい時代で常に市場の変化に対応し続けることが可能になるのです。
社員にとっては、お客様や商品を絞り込むことで業務が単純化し効率性が上がります。そして待遇を向上させることもできるのです。
永続経営の実現のためにも、時代の変化に対応できるビジネスモデルを構築していきましょう。生産性向上を第一に考えたビジネスモデルを構築することが重要です。
画像引用:photo AC