第108号:9割は知らない成熟時代の顧客管理
「おかげさまで、本当に大切にするべきクライアントが明確になり粗利高も上がってきました。社員たちもクライアントに振り回されることなくクレームも減ってきました」
ある建築資材会社さんからのコメントです。
このような会社の問題点は、売上主義で物事を判断していることです。売上主義の会社は、売上が上位のお客様を他社に奪われないように懸命になって仕事をしています。競合他社との相見積もりに合わせて値引きをしたり、納期を少しでも早くしてみたりと、あの手この手でお客様を奪われないように現場の営業マンは必死になっています。
市場の成熟化の時代、売上主義の会社がはまる落とし穴とは
しかし、市場の成熟化はますます進み、価格競争に巻き込まれている会社は、ますます競争が厳しくなっています。ニーズが多様化している現代において、顧客の要望すべてに応えようとしていると、会社のノウハウを高めることができなくなってしまいます。さらには、単純なミスが起こりやすくなります。この状態が続くと会社はどんどん利益の出にくい体質になっていきます。利益確保のため、さらに新規客の獲得にも力を入れるという負の連鎖になってしまうのです。
そのような状態から脱却するために大切なことは、真に大切にすべきクライアントを見極めることです。クライアントを売上だけで判断するのではなく、利益率や自社の商品サービスに対する満足度で考え、長期的に良い関係を継続できるクライアントに絞り込むことが重要なのです。
顧客とサービスを絞り込むことで会社の生産性は上がる
BtoBビジネスの場合は、収益性の低いクライアントを多く抱え込むことによって、その顧客対応に追われ、そのために営業マンを必要としてしまうのです。
ですから、売上を上げることに意識を傾けるのではなく。生産性を向上させることに意識を向けることが重要です。
一人当たりの粗利益額をどこまで引き上げていくかということを基準に、お客様を見極めて対応することが大切です。
自社にとって質の良いお客様と、自信の持てるサービスに絞り込むことによって、会社の生産性は向上していくのです。
まずは、「良質なクライアント」×「得意な商品」で勝ちパターンをつくりましょう。
価格競争に悩んでいる経営者の方は、目先の売上にとらわれていることが原因です。顧客分析をしっかり行い、生産性の向上を目的とした顧客管理を行うことが大切です。
画像引用:photo AC