第97号:自律型幹部を育てるための3つの見える化対策
先日、ある工務店の経営者が経営相談に来られたときのお話です。内容は、なかなか幹部が育たなくて困っているが、どのように教育したらよいかというものでした。
幹部が育たないと悩む経営者の多くは、無意識に自分の分身を育てようとしてしまっています。自分と同じようなことを自分に代わってできる人材を育てようとするのです。
人材育成の第一歩は「仕組みづくり」
中小企業の場合、幹部社員を育成できるかどうかは、次の成長への重要な鍵です。しかし、9割以上の会社がこの壁を乗り越えることができず、零細企業のままで終わってしまうのです。特に創業経営者の方には、叩き上げで会社経営を行い、売上づくりにばかり気を取られ、仕組みづくりをすることに意識が向けられない傾向が強いようです。まずは、その思い込みに気づき、仕組みづくりを心がけることが大切です。
仕組みづくりの第一歩は見える化です。
「役割」について
幹部の仕事は、チーム全体の力を最大限に引き出すための戦略的な意思決定と、決めた戦略の管理、実行するための管理的な意思決定です。その意思決定をするときに、判断基準となるものを見える化していないと、幹部社員さんは自分の意思で判断し行動することができません。そのために必要な見える化対策は、「役割の見える化」「数字の見える化」「計画見える化」の3つです。
まずは「役割の見える化」ですが、中小企業の経営者は戦略的な業務、管理的な業務、現場業務と、様々な業務を兼務して行っています。その業務を整理して見える化し、幹部社員さんにどの部分の役割を担ってもらうのかを明確にしてあげるのです。
「数字」と「計画」について
次は、「数字の見える化」です。
会社の目標、現場の状況を数字で細く見える化します。幹部が自分で判断し部下に指示をするためには、目標に対して、客数が足りないのか、客単価が低いのか、利益率が悪いのかなど的確に問題点を把握し改善点を明確にできるように、数字を見える化するのです。
そして最後は「計画の見える化」です。
チーム全員の力を生かすためには、事前に的確な計画を立てる必要があります。特に重要な計画は、商品の品質改善計画、サービスの品質改善計画、販促計画の3つです。仕事は段取り八割です。事前に計画を立て準備させることが重要です。
幹部社員を育成するためには、まずこの3つの見える化を進めることです。幹部が育たないと嘆く前に、まずは幹部が育つための仕組みづくりをしましょう。
画像引用:photo AC