第106号:”値決めは経営”儲かる会社の価格設定方法とは
ある建築資材会社でのお話です。
「自社の固定費を把握することで商品の適正価格がよく理解できました。以前は適正価格を理解しておらず、安売りをしてでも売上アップのために仕事を受けていました。それが苦しかった経営の最大の理由だったことに気づけました」
価格設定の重要性
BtoBビジネスの場合、クライアントの業績に影響されて価格交渉に巻き込まれ、収益率が年々低下している会社さんは少なくありません。価格交渉に対応していると、粗利額が低下し、その穴埋めのために新規顧客の獲得に力を入れることになります。
採算の合わないお客様を増やす行為は、現場の負担を増やし、商品の品質の低下や単純ミスなどを引き起こす原因になってしまいます。そして、商品やサービスの品質の低下は、生産性を下げるだけでなく優良クライアントを失ってしまう大きなリスクにつながっていくのです。
経営が考える価格設定とは
そのようにならないためにも適正な販売価格を理解して値決めをすることが重要です。
ところが、会社によっては、それぞれの営業マンに売上目標が設定され、その目標達成のために営業マンが自己判断で値引き率も決めているところも多くあります。しかし、その値引きによって、会社の利益率が低下し、さらに売上目標を上げていかなければ利益の出ない体質になっていきます。
商品の差別化が難しい現代では、サービスの品質の違いが差別化につながります。
サービスの品質向上のためにも、適正利益を考えた価格設定が重要なのです。
価格設定の3つの考え方
価格設定には、3つの考え方があります。
1つめは「原価思考」です。
この考え方は原価に対して一定の利益率で値決めをする方法です。
2つめは「競争思考」です。
この考え方は、競合他社の価格を参考に自社の価格を決定する方法です。
3つめは「価値思考」です。
自社の提供する価値に対して価格を設定する方法です。
適正価格とは「価値思考」で価格を設定することです。それには商品の原価だけでなく、固定費を把握し、さらに顧客(ペルソナ)を設定する必要があります。それにより適正な価格設定ができるのです。
価格設定を間違えれば、売上が伸びれば伸びるほど会社の問題が増え、苦しい状態になっていきます。中小企業は、現場のスタッフに価格決定権を持たせるのではなく、経営者自らが、価格を決定することをすすめます。
画像引用:photo AC