2021.06.14

ベテラン経営コンサルタントから学ぶ 経営者の仕事で必要な経営学 ブランディング戦略 【ブランドを構成する8つのポイント編】

佐治

前回は、そもそもブランドとは何かという話をさせていただきました。まだ見ていない方がいましたら、ぜひ前回の動画も見ていただきたいと思います。
そして今回は、ブランドの構築の中身に入ってきたいと思います。ブランドを構成する8つのポイントについてお話をしていきたいと思います。 今回も立川君にインタビューをしていただきます。よろしくお願いいたします。

立川

よろしくお願い致します。
今回は、ブランドを構成する要素について具体的に教えていただけるということですね。

佐治

まず一番初めは、ブランドの定義とは何かという話、ブランドの認知、ブランドの価値訴求という三つの流れでお話をしてきたいと思います。
まずは、そもそも何をもってブランドというのかというところなんですが、例えば自分の会社ってどうやったらブランドになれるだろう、という風に皆さん思ったりしがちなんですね。
有名なブランド商品がブランドであって、自分と関係ないと思ってしまいがちなんですが、まず初めにブラントとは何という定義から話をしてきたいなと思います。

■ブランドの定義とは?

佐治

まずブランドというのは、消費者と企業側の間で起きるイメージなんですね。ブランディングというと、高級だとか有名なもの、大企業の物って思いがちなんですけど、実はブランドというのは、プラスもあるけどマイナスもあるよっていうことなんです。

立川

マイナスって、ネガティブブランドみたいなことですよね。

佐治

(マイナスブランド)とか、例えば商品だとかの評判が良くないというか、または第1回目の動画でもありましたけど消費期限切れのものを販売してたとか、そういうことで評判落としてしまっているとか、そういったものもブランドであるということです。 要はお客様、消費者から見た時に「あの会社ってこうだよね」っていう認識さえできれば全てのブランドだってことなんですよ。

立川

なるほど。

佐治

ですから、ブランディングをやっていようがいまいが、相手から自分たちの会社や商品のことを知られていたらその時点で、もうプラントとして成立してますよということです。

立川

例えば飲食店でいうと、大戸屋とか結構行くんですが。
金額としてはそんなに安いイメージはないけど、体に良くて美味しいのイメージですが、そういうイメージ自体がブランドということなんですか。

佐治

そうですね。それは立川君にとって、プラスのイメージを築いているという事ですね。

立川

なるほど。この場合はプラスですね。
これが消費期限切れとか問題が起きたりすると、マイナスに転じるということですね。

佐治

そうです。
時にあそこの店って美味しくないねとか、サービス悪いねって思っていても、それを認識していたら、それは立川君にとってはちゃんとブランドとして成立してるってことなんですね。

立川

ブランドって言葉自体がいい言葉ではなくて、それが悪い方向にもなるしいい方向にもなるし、客観的にもブランドということですね。

佐治

なぜなら、ブランドというのは企業自体にあるのではなくて、消費者の心の中にあるものなんです。

立川

なるほど。すごい名言ですね。

佐治

この会社はブランド、この商品はブランドじゃないっていうような企業側の基準があるわけではなくて、一人一人の消費者の心の中にこのブランドは自分にとってプラスのイメージ、マイナスイメージ、そもそも知らないっていう、そういう意味で消費者の心の中に築くものがブランドなんですね。

立川

自分のところをよく見せようっていうことじゃなくて、相手がどう思うかということですね。

佐治

そうなんです。このイメージをコントロールしていくんです。

立川

それがすごい難しいということなんですね。

佐治

そこをしっかりと理解しながらやっていかないと、うまくいかないということなんですね。

立川

なるほど。奥が深そうですけど。

佐治

そうですね。そこでちょっと面白いことを体験をしていただきたいと思います。

■ブランドイメージ体験

佐治

先程のように、いかにブランドを作りというのは消費者がプラスのイメージを抱いてるかということがすごく大事だということなんですけど、このイメージがいかに大切なのかということを、皆さんにちょっと体験していただきたいんですね。

立川

体験させていただけるんですね。

佐治

ここに二つのお水が出てきましたが、一つは皆さんもよく見慣れたお水・・・

立川

「いろはす」ですね。

佐治

もう一つは多分よく知ってる方は少ないのではないでしょうか。

立川

初めて見ました。

佐治

こういった二つの水があるわけです。
このお水は、例えば値段も量も一緒だとすると、皆さんだったらどちらを買うでしょうかということです。

立川

値段も量も一緒だったら、知ってて安心できる「いろはす」を僕は選びますね。

佐治

ですよね。だいたいの方が知っている、そして安心できるという、知らないものは危険という風に人って認識してしまいがちなんですけども、でもそれって事実ではないわけです。

立川

実際、危険かどうか分からないですからね。
危険に見えてしまったのは、(パッケージが)赤っぽい感じで 水なのに赤なの?と怪しさが伝わってしまったんですけど。

佐治

そうなんですよね。
このようにプラスのイメージを描くようになっているのか、マイナスのイメージを描くようになっているのかということが、すごく重要なポイントなんですね。
企業としては意図的にプラスのイメージを描いていただけるように行うのが、ブランド戦略にとって重要な事なんです。

立川

なるほど。このパッケージだけではぶっちゃけ中身わからないですもんね。そんな勝手なイメージを持ってしまうと怖いですね。

■ブランド認知とは?(ブランド要素8つのポイント)

佐治

今の消費というのは、イメージで消費してるという事にまず気づいていただきたいわけです。
そこで今回知っていただきたいのが、ブランド認知をするための「ブランド要素8つのポイント」というところですね。

立川

ここがポイントなんですね。

佐治

この8つのブランド要素というのは、自分たちのブランドを認知していただくために、最小単位の物という定義でできています。記憶してもらうためには、あれもこれもとあんまり複雑になりすぎると記憶してもらえないわけです。そんな中で最小単位の8つのものを使って記憶をしていただくというわけなんです。
それが「ロゴマーク」「ネーミング」「キャッチコピー」「カラー」そして「キャラクター」「パッケージ」「香り」「ジングルテーマソング」というものなんですね。

立川

「テーマソング」もブランディング。

佐治

要素のひとつということね。
こういったものを消費者に見ていただくことによって、刺激を与えていくわけです。その刺激がコップの中の水のように記憶が溜まってことによって、ブランドのイメージというものが構築されるわけです。
このブランドの8つの要素というものをどのように作り上げていくのか、これがまずブランディングの最初の重要なポイントになるんです。

■【実例解説①】いろはす

佐治

では先程の「いろはす」について解説していきたいんですけど、まずはネーミングですね。いろはすというネーミング。これがスペシャルウォーターだったらどうですか。

立川

何か元気になれそうな、リポビタンDのような。

佐治

ちょっとまた違うイメージになったりしますよね。いろはすという名前がなんとなく自然のイメージをさせたりとかしていますよね。
そして次に色ですね。色もグリーンアースカラーを使っているんですよね。

立川

自然な感じがします。

佐治

これがゴールドだったらどうですか。

立川

また元気なイメージですよね。

佐治

これもオーガニックをイメージするような色も使って、そしてこのマークも葉っぱのイメージですね。マークが使われていると、こうやってブランド要素で構成されているわけです。 だから意図的に、この水は自然で安心だという風に人が感じるようにブランド要素を構築してるわけです。
さらにいろはすの場合は、このパッケージですね。パッケージは、飲み終えたら潰して小さくなると、非常に飲んだ後もごみが小さくできるという、自然環境に対して配慮もあって、この辺りが結構話題になって他の商品との違いを明確にしたということですね。

立川

そうですね。自然環境に重きを置いてる会社なのかなっていうようなイメージをしますよね。

佐治

これもこの8つの要素の中から重要なポイントを選択しながら、うまく構成されているわけです。

■【実例解説②】ガリガリ君

佐治

他にも紹介したいなと思いますが、「ガリガリ君」ですね。皆さんもご存知だと思います。

立川

僕ガリガリ君苦手なんですよ。

佐治

どんなところが苦手な感じですか。

立川

単純に冷たすぎて噛めないっていう。

佐治

なるほどね。となると立川君にとってはマイナスブランドかもしれないですね。
でも、数あるアイスキャンディーの中で、これだけ知名度があるということは非常に(ブランドが確立できている)。
僕もほとんど買うことはないんですけど、でもやっぱりガリガリ君をよく知ってるってのは、まずはやっぱこのキャラクターによってしっかりと認知してもらうということ。そしてこれもやっぱり子供達にザクザク食べてもらいたいと思うから、こういうガキ大将風の子供をキャラクターにして。ネーミングも「ガリガリ」で。もともと「ガリガリ」だけで行こうかって話だったらしいんですけども。

立川

そうなんですか。

佐治

でもそれだけだとちょっとなんか寂しいなということで、社長の一言で「ガリガリ君」という名前でキャラクターが出来たっていう風に言われています。 このキャラクターによって自分たちのイメージを浸透させているということですね。

立川

僕は買わないっていう選択ができるのでありがたいですね。

佐治

そうですね。それも消費者側のメリットなんですよね。

■【実例解説③】マクドナルド

佐治

次は、これ誰が知っているマクドナルドさんです。Mのマークを見ただけでマクドナルドと分かると。ですから、道を走ってると大きなMのマークが出てきたら、あそこにマクドナルドがあるなということで、みなさん買っていただけたりとかしますね。

■【実例解説④】ファミリーマート

佐治

次に、「あなたとコンビに」と言ったら・・・

立川

ファミリーマートですね。

佐治

そうです。「あなたとコンビにと言ったらファミリーマート」という風に、自分の会社を思い出していただけるかということです。たった一言の言葉で。キャッチコピーひとつで、自分たちの会社は覚えていただくということですね。

■【実例解説⑤】ヤクルト

佐治

今度はパッケージなんですけども、このシルエットを見るだけで何のパッケージかわかりますか。

立川

わかります。ヤクルトです。

佐治

ですよね。あなたの会社の製品があったとして、シルエットだけ自分達の商品がわかるってすごいことなんですよね。 これはパッケージによって自社のことを認識していただくことです。

■ブランド要素8つのポイントまとめ

佐治

このように、8つの要素というものをうまくこの中から自社にとって必要な要素を選択して作っていくと。
皆さんがブランディングと言うと、ロゴとかキャラクターでしょうと言われるところがここなんです。ブランディングの中心となるものであることは間違いないですけども、このようにしっかりとブランド要素を作り上げていくことによって、自分たちの事を効率よくまず覚えていただく、そしてプラスのイメージに描いていただくためにはどんな色、どんな名前、そしてどんなキャラクターがいいのかってことですね。これを作り上げてくってことがまずは重要なことになります。

■最後に

佐治

今回はブランドを構成するための8つポイントについて話をさせていただきました。今回はどうでしたか。

立川

事例がわかりやすかったです。
よくよくいろんな覚えてる商品を紐解いてみると、全部そうなってますもんね。

佐治

なのでこの辺のところをまずしっかり作っていくってのが大事なことですね。 次回はブランドを実際に浸透していく上で、まずは知って頂かなければ好きも嫌いも判定すらできませんので、このブランドを認知していただくための二つの段階ということで、作ったブランド要素をどのように認知させていくかということについてお話ししてきますので是非で次回も楽しみして下さい。

立川

認知させるにはってことですね。本日はありがとうございました。

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