経営者オンライン講座#3ブランディング編

ベテラン経営コンサルタントから学ぶ!
経営者の仕事で必要な経営学 ブランディング戦略 【ブランドとは何か?編 】
佐治

皆さんこんにちは。さじコン経営をご覧いただきありがとうございます。
これまで「経営者の仕事についてのシリーズ」そして「マーケティングの基礎についてのシリーズ」をお送りしてきましたが、いかがだったでしょうか。まだの方は是非見てみてください。
今回からはブランディングについてお話をしてきたいと思います。今回も立川君の方からインタビューしてもらいながら話を進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

立川

本日もよろしくお願い致します。

ブランディングとは?

立川

ブランディングって言うと、ちょっとなんか聞こえはすごく良いのですが、ブランディングって何なんでしょうか。

佐治

まあ一言で言ってしまうと、消費者の中に息づく自分たちの企業イメージでもあり、そして企業側からするとブランドを築くことは企業を資産化することになるということなんです。

立川

単純にブランドと聞くと、ルイヴィトンとかグッチとかエルメスとか、高級なイメージが 先に先行してきちゃうんですけど、それもある意味ブランドなんですよね。

佐治

ブランドって言うと高級品であったりとか、大手がすることで中小企業には関係ないと思われがちなんですが、実はブランディングと言うのは、中小企業にこそこれから重要になってくるわけなんですね。
ですから今回のシリーズを通して、ブランディングとは何なのかということ、そして中小企業になぜ必要なのかということを分かりやすく説明してきます。是非今回も楽しみにしていただきたいと思います。

ブランディングに取り掛かる前に

立川

ブランディングとは、についてご教示いただけますでしょうか。

佐治

まずブランディングに取り掛かる前に、どういう目的でブランドを作ってくのか、ブランディングをしていくのか、そして何を対象にしていくのかということですね。意外とこの段階で理解できてない方がいるので、まずそこからお話をしていきます。
まずブランドアンブレラ、ブランドの傘と言う図があるんですが、基本的にはブランドには種類があって、例えばコーポレートブランド、そして事業ブランド、製品ブランドというような形でそれぞれブランディングに種類があるわけなんです。

立川

種類とは三つですか。

佐治

基本的にはこの三つの場合もありますけども、ファミリーブランドと言ったりもします。それは組織構造によって変わってきますね。

立川

ブランドと言っても色んな言い方があるんですね。
コーポレートブランドというのは、会社としてのブランドですか。

佐治

企業を軸としたブランド戦略ということですね。

コーポレートブランディング戦略(実例①)

佐治

まず、Appleさんのアンブレラを出して頂きたいんですが、Appleさんというとどんなイメージですか。

立川

まずスマート。iPhoneもMacもそうですけど、余計な変なデザインがなくて、シンプルでわかりやすいイメージですね。

佐治

そうですよね。だからApple社製というだけでデザインのイメージだとか、シンプルで使いやすいみたいな、そんなイメージを持たれる方が多いのではないかと思います。

立川

そうですね。

佐治

そういった戦略のことを、コーポレートブランディングと言うんです。

立川

このイメージ自体が。

佐治

そうです。企業として、自社の製品イメージをどのように作るかということを、一貫して統一してるという事なんです。

立川

製品が変わっても、そのイメージは変わらないと。

佐治

このコーポレートブランディングに成功すると、新しい事業の成功確率も上がっていくわけなんです。ですから例えば今、Appleが車を作ろうとしている話もあると思いますが、Appleが車を作ると聞いただけでどんな車ができるんだろうと想像がつくと思います。

立川

確かに。Appleで凄いガチャガチャした車は作らないだろうと思います。

佐治

Appleファンだったら発売前から期待をしてるんじゃないかと思います。

立川

iPhoneとネットワークでつながるんだろうな、とか思いますね。

佐治

そうですよね。これがコーポレートブランドというのものの戦略になるんです。なので、何を対象にしてブランド戦略するかという事をまず始めに決めていくことがすごく大事で、同じような例に行くとダイソンさんなんかもそうなんですよね。ダイソンさんは最初は掃除機から始まり、今は様々な製品を出していますね。

立川

そうですね。扇風機とかドライヤーとか、色々な製品出されましたよね。

佐治

ダイソンといえば「吸引力が落ちないただ一つの掃除機」っていうそういう機能があって、そういうデザインも洗練されたイメージがあると思うんですけども、それぞれの商品が全て扇風機にしてもドライヤーにしても、同じ製品イメージを一貫していることによって、新しい製品を出しても非常に成功確率が上がっているというような感じなんですね。

立川

イメージを定着させることがブランディングの目的なんですかね。

佐治

そうですね。消費者側にこの製品イメージをどのように的確に消費者の心の中に植え付けていくかということですね。

立川

CMによっても統一されたりしますね。

佐治

そういう形で全てのものを統一していきながら、企業の製品にあった客層を引き寄せるというようなイメージ戦略なんですよね。

立川

ブランドがしっかり定着してしまったら、覆すのは結構難しい作業なんですね。

佐治

そうですね。逆に言うとブランドが、マイナスブランドになってしまうような、例えば一時あった某料亭さんの賞味期限切れの問題とかあったりしましたよね。あのような問題が起きると、ブランドの毀損になってしまったりするということなんです。

立川

全体的にそういうイメージになってしまいますね。これがマイナスなんですね。
一回イメージ定着してしまうと払拭は難しそうですね。

佐治

なので、自分たちのブランドイメージをどのように意図的に作り上げていくということが、すごく重要になってくるんです。

事業ブランド戦略(実例②)

佐治

次に事業ブランド戦略ですが、代表的なものというとファーストリテイリングさんなんですが。

立川

ユニクロさんですね。

佐治

ファーストリテイリングさんは、実は9つの事業をやってることはご存知でしたか。

立川

9つもやっていたんですか。ファーストリテイリングさんって、ユニクロとGUくらいしかわからないです。

佐治

それ以外に、セオリーであったりとか様々なブランドを運営しているんですが、そういう中ではユニクロさんは、どちらかというと企業名で認識していただくより、それぞれの事業ブランド単位でブランド構築をしてるということです。

立川

なるほど。ユニクロはユニクロ、GUはGUで。

佐治

このように行っていくのが事業ブランドなんですけど、コーポレートブランドと事業ブランドというのがある中で、多くの中小企業さんは何を対象にブランディングするかということの時点でできていなかったりするんです。
例えば、いきなり新しい事業をやるからブランディングをやりたいんですって話があったりするけど、その事業をやっていくんですが、今までの初めての事業で知らない会社だと困るのでちゃんと会社も伝えないといけないと、「○○会社がやるこういう事業です」という風に伝えようとしてしまうんですが、ただそれが一貫した考え方の事業だったらOKなんです。でも全然違うような、例えば先ほどのユニクロさんでいうと、ユニクロ・GUというブランドとセオリーというプランドとは対象も違えばイメージも違うわけですよね。

立川

全然違いますね。

佐治

だからそういうものが同じ会社の社名で出してしまうと、この会社は何をしたいのか、どんなところが売りなのか、何にこだわっているのかというのが消費者はよく分からなくなってしまうんです。

立川

なるほど。

佐治

セオリーというのはちょっとハイブランドになりますよね。だから例えばセオリーのお客様が、会社がファーストリーテイリングだから安心だと買うのか、もしくは逆にファーストリテイリングがやってるの?ちょっとガッカリだとマイナスイメージを持つのかというところですね。

立川

たしかに。ユニクロのイメージが強すぎて、安い大衆的みたいなイメージが通ってますから。だからセオリーっていうところのハイブランドっていうと、マイナスなブランディングになってしまう可能性があると。
コーポレートのプランニングじゃなくて、事業ごとで分けているということですね。

佐治

つい中小企業の場合は、新しい時代に合わせて新しい事業をやっていこうという風に思ってしまいがちで、ただその展開とブランド戦略が一致していないとそもそも上手く行かないっていうことがあるので、しっかり注意してスタートしていただきたいなと思います。

ブランディングの見極め方は?

立川

コーポレートでブランディングしていくのか、事業でブランディングしていくのか、製品単位でブランディングしていくのか、その見極めはどういう風にしていけばいいのでしょう。

佐治

そこがまさに経営戦略になってきます。企業がどういう経営の目的を持ってやっているのかというところから考えていくことが、非常に重要になってくるんですね。

なぜ中小企業にこそ必要なのか?

佐治

次に、そもそも何故ブランディングが中小企業に必要なのかという話をしていきたいと思うんですが、多くの会社さんは市場のライフサイクルをよく理解していなくて、ライフサイクルに対してどのようにビジネスを考えるかというのがすごく大事なんですが、市場のライフサイクルというのは「創世期・成長期・安定期・衰退期」と四つの流れがあるんです。
よくあるのが、ビジネスというのは安定期に入ったら先のこと考えて、次の成長期のビジネスを考えていきましょうというのが今までのセオリーという形で、ビジネスの考え方ってのあったわけですね。ただ今の日本というのは成熟社会になっておりますので、ないものがほとんどないわけです。
新しく何か成長期のビジネスができてきたとすると、あっという間に安定期になって衰退期になってしまうんです。

立川

そのスピードが早いということですね。

佐治

そうなんです。ですから、安易に成長期のビジネスに手を出すと、逆にリスクが高まるというケースが非常に高くなってきてるのが現代の経済なんですね。
なので、そういうふうに考えた時に、ほとんどの市場っていうのは衰退期に入ってきてると、衰退期の中でどのようにビジネスを行っていくかと考えることが非常に重要になってくるわけなんです。

立川

衰退期というのは、要するに成長して安定してそれが続いた後ですね。

佐治

衰退してなくなってしまうような市場もあるんですけど、でもなくなってしまう市場はごくわずかで、衰退はするけどでも結局残る市場が多いわけです。その残った市場の中でどのようにビジネスで生き残っていくかということが、非常にこれからの特に日本でビジネスをしていく場合には重要になってくるわけなんですね。
衰退期に入るとニーズが多様化してきます。ですから、価格差も安売りのところが出てきたりとかハイブランドは出てきたりとか、このように衰退期というのは多様化していって、次の図のように需要のピラミッドという形で、ローエンドそしてボリュームゾーン、ハイエンドというの形で、市場がだんだん細分化して分かれていくわけなんです。
どちらかというと大手というのは、ローエンドとかボリュームゾーンに対して価格と知名度で押し切ってくるというのが大手のブランディングで多い例なんです。それに対して中小企業というのは、どちらかと言うとボリュームゾーンっていうのは価格が軸になるケースが多いので勝負しにくいので、どのゾーンを狙っていくのか、そのゾーンにおいて自分たちのことを知っていただく、買っていただくという戦略を組んでいくことがすごく重要になってきます。
だからこそ中小企業にこそ、自分達はどういう市場を狙っていくのか、その人達にどういう自社のイメージを訴求していくのかっていうことが重要になってくるんです。

立川

なるほど。だから中小企業こそ、ブランディングが必要だと。

ブランディングの企業側におけるメリット

佐治

そこで、ブランディングの企業側におけるメリットっていうことでこちらに4つあげているんですけども、このようなメリットがあります。

まず1つ目が、プレミア価格での販売ができるようになることです。
自分達の価値訴求が明確にできるようになってくると、高くてもそれだけの価値があるということが伝わりますので、そういった価格で販売できるようになります。価格競争になるということは、結局消費者に価値が伝わっていないから、よくわかんないから安い方を選ぶと言うことになってしまうので、このようなメリットが一つですね。

次に、マーケティングの効率が高まるということです。
先ほどのAppleの話ではないですけど、「これから車作りますよ」という段階でファンの人達は関心持ってくれて注目してくれるという事があったりします。そして記憶しやすくなるということです。自分たちの会社のことを知っていただく、記憶していただくっていうことの効率が上がることでマーケティング効率が高まるという事ですね。

そして、参入障壁を築くことができるということです。
例えば先ほどのAppleさんの場合、他社のパソコンと圧倒的に違うというイメージ作りができていますから、非常に他社が真似しにくいということです。ただ商品だけであれば意外と真似できてしまうけど、商品に付随したブランドイメージっていうものがしっかり築き上げられていると、真似がされにくいんですね。

最後に、ブランドは資産価値が上がって売却の対象にもなるんですね。
だから実は、知名度が高くて品質の良いブランドは売買されていたりするわけです。

このようなメリットが、中小企業にはあるということですね。

消費者側のメリット

佐治

次に、消費者側のメリットについてお話ししていきたいと思います。
消費者にとってもブランドを築くことはメリットがあるわけなんですが、消費者にとってのメリット3つをご紹介したいと思います。

まず、購買の意思決定がしやすくなるのが一つ目ですね。
今っていうのは様々な商品があるので、消費者は何を基準に選んでいいのか分かんないっていうような状態じゃないですか。

立川

そうですね。

佐治

その時にちゃんとブランドが確立して、どういう価値のブランドなんだ、どういう考え方なんだってことが明確に伝わると消費者は買いやすくなるということですね。

二番目は、信頼できるブランドを購入するってことで、リスク回避ができるということです。

立川

例えば商品の品質とか、食べ物だったら味とかですね。

佐治

そうですね。私なんか特に電気製品あんまり詳しくないですけど、詳しくない物を買うときって高い物から聞いていくんですよね。詳しくないものって、安いものを買うと失敗する気がして不安だったりしませんか。

立川

すごく分かります。偏見ですけどね。

佐治

高いのか、よく売れてると言う事で買ったりしますので、このようなリスクを回避するということが、消費者側も買い物する時に考えることなんですよね。

最後はステータス感、優越感を得ることができるということです。
特にApple製品なんかは製品自体の魅力もあるんだけど、Appleのパソコンを使って時にスターバックスで仕事をするのがトレンドみたいな、そんなこともあると思うんですが、まさにステータス感とか優越感を買っているということですね。

このような消費者メリットがあるということです。

最後に

佐治

ブランディングから「ブランド作りのメリット」まで話しましたが、そもそも今回ブランドは何かってところで、企業側のメリットさらに消費者側にもメリットがあるというところを第1回目でお伝えしたかったんですが、いかがだったでしょうか。

立川

最初はブランドと言ってもパットしたイメージってあまりわからなかったんですけど、いろんな企業の事例とかをお話ししていただくことによって、イメージとして想像できたってところがすごく良かったですね。

佐治

そうですか。良かったです。
最初からどういうブランドを築き上げるのかということ、そしてブランドというのは何を行うことなのかっていうことを、始めにしっかりと理解して進めていただくといいと思います。

立川

ありがとうございます。

佐治

次回は「ブランディングを構成する8つのポイント」というところで、具体的にブランディングをどのように作り上げていくのかというところに入ってきたいと思いますので、ぜひ楽しみにしていただきたいと思います。

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ブランディング編 Part2【ブランドを構成する8つのポイント編】 ブランディング編 Part3【ブランド認知 2つの段階編】 ブランディング編 Part4【ブランディングにおける2つの価値編】

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